物件所有している大家の皆さん、退去時に避けて通れないのが「現状回復」です。
借り手が退去した後に物件を元の状態に戻す作業ですが、この現状回復が原因でトラブルになることも少なくありません。
この記事では、現状回復の基本知識やトラブルを防ぐための方法について詳しく解説します。さらに、皆さんが混乱しがちな「原状回復」と「現状回復」の違いについても説明しますので、この記事を参考にして、スムーズな物件管理を実現してください。
≪目次≫
・現状回復って何?
・現状回復の基本ルール
・現状回復の際に行う工事について
・トラブルを回避するための事前準備
・トラブル時の対処法
・まとめ
■現状回復って何?
・現状回復の基本概念の説明
現状回復とは、借りていた物件を退去する際に、元の状態に戻すことを指します。これは、物件を次の入居者に引き渡すために不可欠なプロセスです。
具体的には、使用による汚れや傷、設備の劣化を修理することが含まれます。たとえば、壁にできた小さな穴を埋めたり、キッチンの換気扇を掃除したりすることが挙げられます。
借り手が物件を利用するときには、普通の生活を送る上で避けられない程度の劣化もあります。これを「経年劣化」と呼び、通常は大家さんの責任として修復されます。
しかし、借り手の過失によるダメージや特別なカスタマイズ(例:壁のペンキ塗り替え)などは、借り手が責任を持って元に戻す必要があります。
混乱しがちな言葉として「原状回復」がありますが「原状回復」は借主が退去時に負担する工事で、物件を借りた時の状態に戻す工事です。つまり「原状」に戻す工事になります。
リフォームや増築、耐用年数を超えた物の交換などが含まれます。
・なぜ重要なのか?
現状回復は、物件の価値を保つために非常に重要です。物件が清潔で整った状態であれば、新しい借り手をスムーズに見つけやすくなります。また、次の入居者が快適に住むためにも、現状回復は欠かせません。
例えば、先ほど例に挙げた壁の穴が放置されていると、新しい住人が入居時に不快に感じる可能性があります。さらに、修繕が行われていない物件は、全体の印象が悪くなり、入居希望者が減少するリスクもあります。
このように、現状回復によって物件の魅力を維持することが、大家さんにとって非常に大切な作業です。
以上のように、現状回復は物件の管理に不可欠であり、その基本概念と重要性をしっかり理解することがトラブルを防ぐ鍵となります。
■現状回復の基本ルール
・法的な基準と大家さんの義務
現状回復を行う際には、法律で定められた基準を守ることが重要です。賃貸借契約の基本的なルールとして、借り手が日常的な使用によって生じた通常の損耗(経年劣化)は、大家さんがその修繕費用を負担することになります。
たとえば、壁紙の日焼けや、フローリングの擦れ、カーペットの汚れなどは経年劣化と見なされます。これらの修繕は大家さんの責任となりますが、借り手が壊した設備や、過失による損傷の場合は借り手が修繕費用を負担します。
・借り手と貸し手の責任範囲
借り手と貸し手の間でトラブルを避けるためには、それぞれの責任範囲を明確にすることが重要です。
借り手の責任:
借り手は物件を借りた状態で維持する責任があります。
借り手が物件を損傷させた場合、その修繕費用を負担する義務があります。
借り手が行うべき軽微な修繕や清掃(例:ライトバルブの交換、換気扇のフィルター清掃)。
大家さんの責任:
大家さんは物件の基本的な維持管理を行う義務があります。
経年劣化や自然な摩耗による修繕は、大家さんの負担となります。
重大な設備の故障や修繕(例:給湯器の交換、配管の修理)。
・具体例で理解する責任範囲
壁紙の汚れ: 日光による色あせは経年劣化として大家さんの負担ですが、ペットが壁紙を引っ掻いて破れた場合は借り手の負担となります。
床の傷:
フローリングの擦り傷は通常の生活によるものと見なされますが、家具を引きずってできた深い傷は借り手が修理費用を負担します。
水回りのトラブル:
浴室のカビは日常的な清掃不足による場合は借り手の責任ですが、シンクの水漏れなど設備の老朽化によるものは大家さんの責任です。
これらのルールと責任範囲を事前に契約書で明確にしておくことで、現状回復の際にどちらが何を負担するかがはっきりと分かり、トラブルを未然に防ぐことができます。
契約時にしっかりと確認し、借り手と貸し手の双方が納得のいく取り決めを行うことが最も重要です。
■現状回復の際に行う工事について
現状回復の際には、以下のような工事や修繕作業が一般的に行われます。これらの作業を行うことで、物件を次の入居者が快適に住める状態に整えます。
壁の修繕
物件の中で多くの人が気にするのが壁の状態です。家具を移動する際にできた擦り傷や、画鋲や釘を使ってできた穴を修復します。例えば、擦り傷は専門の修繕剤を使って丁寧に埋めます。小さな穴はパテで埋めた後、ペイントで上を塗り直します。
床の補修
フローリングやカーペットなどの床材も使用によって傷んでしまうことがあります。これらの補修も現状回復の一環です。フローリングの傷は、専用の補修キットを使って埋め、全体を磨き直します。カーペットの汚れはプロフェッショナルのクリーニングを依頼することで、汚れをしっかりと取り除きます。
設備のメンテナンス
キッチンやバスルームなどの設備も現状回復の対象です。
キッチンのシンクやコンロは、念入りにクリーニングします。
バスルームのカビ取りや排水口の掃除は、新しい入居者が安心して使用できるように重要な作業です。
ドアや窓の点検・修理
ドアや窓枠も意外と傷みやすい部分です。開閉の際にガタつきがないか確認し、必要に応じて修理します。
窓のサッシは汚れやホコリを取り除き、スムーズに開閉できるようにします。
ドアの取っ手や鍵が緩んでいる場合は、しっかりと取り付け直します。
エアコンや換気扇の清掃
換気設備も忘れてはいけません。
エアコンのフィルターを取り外して洗浄し、冷房や暖房の効率を保ちます。
換気扇もホコリや油汚れを綺麗に取り除き、スムーズに動作するようにします。
これらの工事や修繕を行うことで、物件は元の美しく快適な状態に戻り、次の入居者にとっても魅力的な物件となります。現状回復には費用も時間もかかりますが、それによって物件の価値を維持し、トラブルを未然に防ぐことができるのです。
弊社でも上記の工事の対応は可能ですので、気になる方は一度ご相談ください。
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■トラブルを回避するための事前準備
・明確な契約書の作成
現状回復に関するトラブルを避けるための最初のステップは、明確な契約書を作成することです。契約書には、現状回復の範囲や負担する費用、借り手と貸し手双方の責任を具体的に明記します。
例えば、契約書に以下の内容を含めるとよいでしょう
どの程度の損耗が経年劣化とみなされるか
借り手が負担する修繕費用の具体例
入居時と退去時の物件の写真を記録することの明示
こうした内容を契約書で明確にすることで、退去時に双方の認識のズレを防ぎ、スムーズに現状回復を進めることが可能です。
・入居と退去時のチェックリスト
チェックリストを利用することも、トラブルを未然に防ぐために有効です。入居時と退去時に使用するチェックリストを用意し、物件の状態を細かく確認します。
具体的には以下のポイントをチェックします:
入居時チェックリスト:
壁や床の状態(傷、汚れの有無)
設備の動作確認(エアコン、レンジフード、給湯設備など)
水回りの状態(シンク、トイレ、シャワーの水漏れやカビの有無)
退去時チェックリスト:
入居時と同様に、壁や床の状態を再確認
借り手が使用した後の設備の動作確認
清掃や修繕が必要な箇所のリストアップ
入居時には借り手と大家さんが一緒にチェックリストを確認し、両者でサインをすることで、物件の状態を明確に記録します。これにより、退去時に問題が発生した際の基準とすることができます。
また、写真や動画を撮影して記録として残すことも重要です。
これにより、言葉だけでは伝わりにくい部分も明確にし、後々のトラブルを避けることができます。
以上のように、明確な契約書の作成とチェックリストの導入を徹底することで、退去時の現
状回復に関するトラブルを大幅に減らすことができます。これらの事前準備をしっかり行うことで、お互いが納得のいく形で物件の引き渡しを進められるでしょう。
■トラブル時の対処法
・話し合いのコツ
現状回復に関するトラブルが発生した場合、一番重要なのは冷静に話し合いを進めることです。簡単なポイントを押さえておきましょう。
双方の立場を理解することが大切です。大家さんとしては物件を良い状態で次の入居者に引き渡したい一方、借り手としては費用負担を最小限に抑えたいと考えます。
この互いの立場を理解しながら話し合いを進めると、より円滑に問題解決が進みます。
明確な証拠を持ち寄ることが重要です。
特に、入居時と退去時の写真やチェックリストがあると、具体的にどの部分が問題となっているかを明確に示すことができます。
客観的な事実に基づいた話し合いを心がけましょう。感情的になると話し合いが長引いてしまうことが多いので、できるだけ冷静に、問題解決を目指して話し合うことが大切です。
・仲裁や法律のサポート
話し合いで解決が難しい場合、仲裁や法律のサポートを検討することも一つの方法です。
第三者の仲裁: 物件管理会社や弁護士、地域の不動産協会などが仲裁に入ることで、客観的な視点から問題解決の糸口を見つけることができます。
法律のサポート:
賃貸借契約に関する法律の専門家に相談することで、法的な見解やアドバイスを受けることができます。特に、大きなトラブルや法的な解釈が必要な場合は弁護士に相談することが望ましいです。
例えば、借り手が故意に物件を傷つけた場合、法的な措置を取ることで修繕費用を請求することができます。一方、大家さんが経年劣化を借り手の責任として押し付けようとする場合も、適切な法律のサポートを受けることで公平な解決が図れます。
実際の事例:
過去の事例を参考にすると、問題解決のヒントが得られることがあります。
事例1: 借り手がエアコンのフィルターを洗わずに退去し、エアコンが故障した。この場合、エアコンの修理費用はどちらが負担するべきか?解決策としては、フィルターの洗浄は借り手の義務であるため、適切な説明と契約書に基づいて話し合いを行いました。
事例2: 大家さんが壁にできた穴を修繕する費用を全額請求した。しかし、穴の大きさや数が一般的な使用によるものである場合、費用の分担を話し合い、最終的には仲裁を依頼して公平に解決しました。
こうした事例を参考にしながら、現状回復に関するトラブルを未然に防ぎ、発生した場合でも円滑に解決を図ることが重要です。
■まとめ
現状回復は、大家さんにとっても借り手にとっても重要なプロセスです。それぞれの責任と役割を理解し、適切に対応することで、スムーズな物件引き渡しを実現することができます。
これまで見てきたように、現状回復には基本的なルールがあります。法的な基準に従い、借り手と貸し手の責任範囲を明確にすることがトラブルを防ぐ第一歩です。また、明確な契約書の作成やチェックリストの利用、適切な話し合いのコツを押さえ、必要に応じて第三者や法律のサポートを受けることも重要です。
最後に、現状回復に関する事例を学び、具体的な問題解決の方法を知ることで、同様のトラ
ブルに対しても冷静に対応できるようになります。これらを踏まえて、円滑な物件管理と良好な借り手との関係を築いていきましょう。
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